ホテル5
プーケットにあるクラブメットへ遊びに行った時のお話。クラブメットはビュッフェスタイルの食事、色々なスポーツアクティビティがオールインクルーシィブのリゾートホテル。世界各国から来たスタッフやゲストとの交流が魅力だ。
クラブメットに着いた初日の夕食でのできごと。レストランスタッフが一人で来た私を、同じく一人で遊びに来たと思われるゲストがいるテーブルに案内してくれた。その大きな丸いテーブルには、既に二人の日本人ゲストが座っていた。座席についてしばらくすると、真ん中に座っていた男が、顔を振りながら私ともう一人の男の顔をじろじろ眺めだした。なんだと思って、私はもう一人の男の顔を見た。その男の顔を見た時、一瞬時間が止まった。そこに自分がいた。というか自分そっくりの人がいた。後で見ると、顔だけでなく長身でやせ形の体型も似ていた。話してみると名字も出身も全く異なる赤の他人。年は一回りほど向こうが上だったが。人のDNAは四十いくつかの配列によってできているとのこと。その配列がたまたま近い人だったのかもしれない。クラブメットには10日あまり滞在したが、他のスタッフやゲストも私と彼が兄弟だと思っていたみたいだ。クラブメット滞在中、一人でいるとスタッフに「兄さんはどうしたんだい?」と聞かれる始末。
世の中には自分とそっくりの人が三人はいると聞いたことがある。その時は私は幸運にもそのそっくりさんの一人に出会うことができたのだ。でも喜んでばかりはいられない。そっくり兄さんが別れ際に教えてくれた。「そっくりさん三人目に会った時には、死んでしまうらしいよ。」
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